注目の「抗酸化作用」を持つビタミンの一つがビタミンEです。
誰もが名前は聞いたことのあるビタミンだと思いますが、具体的にはどのような働きをするのかまでは詳しく知らないという方も多いでしょう。
この記事では、ビタミンEの効果や必要量、効率的な摂取方法などについて解説していきます。
ビタミンEとは?

ビタミンEは「活性酸素」の発生を抑えたり、除去したりする働きを持つビタミンです。私たちの体内では細胞膜や脂質に多く存在しています。
[活性酸素とは?]
呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が変化したもの。体内で免疫機能などの役割を担っていますが、過剰に発生してしまうと細胞を傷害し、動脈硬化や生活習慣病、がんなどを引き起こす要因となります。活性酸素が過剰になる原因としては紫外線やストレスなどがあります。
抗酸化作用をもつビタミンは、活性酸素から細胞を守ってくれたり体内の脂質の酸化を防いだりしてくれます。
ビタミンEの特徴

ビタミンEは、水に溶けない性質を持つ「脂溶性ビタミン」に分類されるビタミンです。
天然に存在するビタミンEには、以下のような種類があります。
- α(アルファ)-トコフェロール
- β(ベータ)-トコフェロール
- γ(ガンマ)-トコフェロール
- δ(デルタ)-トコフェロール
- α-トコトリエノール
- β-トコトリエノール
- γ-トコトリエノール
- δ-トコトリエノール
中でも、生体に最も多く存在し強い作用を持つのが「α-トコフェロール。
ビタミンEは熱に強いという性質を持っていますが、非常に酸化しやすい特徴があります。
[ メ モ ]
ビタミンEそのものが酸化されることにより、体内の脂質の酸化を防いでくれる作用があります。
ビタミンEの吸収過程

食事から摂取されたビタミンEは、以下のような過程で吸収されます。
- 脂質と結合する
- 胆汁酸の助けを得て、吸収されやすい形になる
- 小腸から吸収される
- リンパ管を通り、肝臓に運ばれる
肝臓内では、ビタミンEの一つであるα-トコフェロールが輸送タンパク質と結合し、血液とともに体の各組織へ運ばれていきます。
なお、α-トコフェロール以外のビタミンEは肝細胞内で代謝されます。
ビタミンEが不足することによる体への影響

ビタミンEが不足すると、神経伝達障害や筋力の低下、溶血性貧血などを引き起こす可能性があります。
[溶血性貧血とは?]
赤血球が壊れてしまうことで起こる貧血のこと。抗酸化作用のあるビタミンEが不足することにより、赤血球膜の酸化が進んでしまうため起こります。
しかし、大人では体内の脂肪組織に多くのビタミンEを貯蔵できることから、不足による症状は出にくいとされています。
このことから、子供のうちは体内に十分なビタミンEが貯蔵されていないため、不足しないように摂取することが必要であると言えるでしょう。
なお、ビタミンEが不足することによって起こる症状は、サプリメントを摂取することで改善するとされています。
ビタミンEを十分摂取することで期待できる効果・予防できること

抗酸化作用を持つビタミンEを十分に摂取することで、活性酸素から体を守ってくれます。
ここでは、ビタミンEを十分に摂取することでもたらされる影響について見ていきましょう。
血行を促進する
ビタミンEは、血管を拡張させ血液を固まりにくくする効果があるため、血流を改善させることに役立ちます。
また、体内にある脂質の酸化を防止することで、血管の健康を保ったり血液をサラサラにしたりする効果にもつながります。
これらの作用により血行が促進した結果、冷え性や肩こり、頭痛などの改善も期待できるとされています。
免疫力を高める
ビタミンEは、活性酸素の発生を抑えたり除去したりしてくれる「抗酸化ビタミン」。免疫細胞を活性化させ、体内に侵入する細菌やウイルスから体を守ってくれる作用があります。
[ メ モ ]
活性酸素の働きを抑える抗酸化ビタミンには、ビタミンEのほか「ビタミンA」「ビタミンC」などがあります。
生活習慣病を予防してくれる
細胞膜はタンパク質と脂質で構成されていますが、脂質の酸化が進むと生活習慣病の一因となることが知られています。
ビタミンEは脂質の酸化を防いでくれるため、生活習慣病の予防に役立ってくれるでしょう。
最近は、生活様式の変化やストレスなどにより、生活習慣病になる子供も増えていると言われています。
そのため、子供の頃からビタミンEなどの抗酸化ビタミンの摂取を意識することは、とても重要なことなのかもしれませんね。
ビタミンEはどのくらい摂取したら良い?

ビタミンEが不足することによる悪影響は、大人では起こりにくいとされていますが、子供では注意が必要です。
それでは、ビタミンEはどのくらい摂ったら良いのでしょうか。
ここでは、ビタミンEの1日当たりの摂取目安量や、実際に摂取している量について見ていきましょう。
1日当たり摂取目安量
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、ビタミンEの摂取目安量を以下のように定めています。
なお、この目安量はα-トコフェロールについて算定したもので、α-トコフェロール以外のビタミン E は含んでいません。
年齢等 | 目安量(男性) | 目安量(女性) |
---|---|---|
0~5(月) | 3.0mg | 3.0mg |
6 ~11(月) | 4.0mg | 4.0mg |
1~ 2 (歳) | 3.0mg | 3.0mg |
3~ 5 (歳) | 4.0mg | 4.0mg |
6~7(歳) | 5.0mg | 5.0mg |
8~9(歳) | 5.0mg | 5.0mg |
10~11(歳) | 5.5mg | 5.5mg |
12~14(歳) | 6.5mg | 6.1mg |
15~17(歳) | 7.0mg | 5.5mg |
18~29(歳) | 6.0mg | 5.0mg |
30~49(歳) | 6.0mg | 5.5mg |
50~64(歳) | 7.0mg | 6.0mg |
65~74(歳) | 7.0mg | 6.5mg |
75以上(歳) | 6.5mg | 6.5mg |
妊婦 | - | 6.5mg |
授乳婦 | - | 7.0mg |
1日当たりの平均摂取量
次は、ビタミンEの1日当たりの平均摂取量を、厚生労働省「令和元年度国民健康・栄養調査」の結果から確認していきましょう。
こちらも食事摂取基準と同様に、α-トコフェロールの量について算出されています。
年齢等 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
1~6歳 | 4.2mg | 3.8mg |
7~14歳 | 6.0mg | 5.9mg |
15~19歳 | 7.3mg | 6.6mg |
20~29歳 | 6.9mg | 5.4mg |
30~39歳 | 6.6mg | 6.1mg |
40~49歳 | 6.7mg | 6.0mg |
50~59歳 | 7.1mg | 6.6mg |
60~69歳 | 7.5mg | 7.2mg |
70~79歳 | 7.8mg | 7.4mg |
80歳以上 | 6.8mg | 6.3mg |
摂取不足が懸念される栄養素も多い中、ビタミンE(α-トコフェロール)は食事摂取基準と比較してみても、概ね満たされていると言っても良さそうですね。
ビタミンEを摂取する上での注意点

脂溶性ビタミンであるビタミンEは、水に溶けないため体内に蓄積されやすい成分です。摂り過ぎてしまうと体への悪影響も考えられます。
日本人の食事摂取基準(2020年版)においては、目安量のほか「耐容上限量」が設けられています。
[耐容上限量とは?]
習慣的に摂取していても、健康を害するリスクがないとされる上限量のことを指します。
年齢等 | 耐容上限量(男性) | 耐容上限量(女性) |
---|---|---|
0~5(月) | - | - |
6 ~11(月) | - | - |
1~ 2 (歳) | 150mg | 150mg |
3~ 5 (歳) | 200mg | 200mg |
6~7(歳) | 300mg | 300mg |
8~9(歳) | 350mg | 350mg |
10~11(歳) | 450mg | 450mg |
12~14(歳) | 650mg | 600mg |
15~17(歳) | 750mg | 650mg |
18~29(歳) | 850mg | 650mg |
30~49(歳) | 900mg | 700mg |
50~64(歳) | 850mg | 700mg |
65~74(歳) | 850mg | 650mg |
75以上(歳) | 750mg | 650mg |
通常の食事からビタミンEを摂取する場合、過剰摂取はほとんどないとされています。
しかし、サプリメントを含め非常に多量のビタミンEを摂取している場合は、まれに筋力低下や疲労、吐き気や下痢が見られることがあるようです。
また、出血のリスクが高まる可能性もあるとのことから、サプリメントを利用する場合には摂取目安量を守り、過剰摂取には注意しましょう。
ビタミンEを食事から適切に摂取する方法は?

ビタミンEは、魚介類やナッツ類などの種実類、油脂類、豆類、野菜類などに多く含まれています。
ビタミンEを多く含む食材
食品名 | 状態など | 含有量 |
---|---|---|
アーモンド | 乾 | 30.0mg |
落花生 | 乾 | 11.0mg |
くるみ | いり | 1.2mg |
ひまわり油 | ミッドオレイック/ハイオレイック | 39.0mg |
オリーブ油 | - | 7.4mg |
うなぎ | 養殖・生 | 7.4mg |
すけとうだら たらこ | 生 | 7.1mg |
ぶり はまち | 養殖・皮つき・生 | 4.6mg |
めかじき | 生 | 4.4mg |
豆乳 | 調製豆乳 | 2.2mg |
モロヘイヤ | 茎葉・生 | 6.5mg |
西洋かぼちゃ | 果実・生 | 4.9mg |
しそ | 葉・生 | 3.9mg |
にら | 葉・生 | 2.5mg |
おすすめの食べ方
ビタミンEは、脂溶性ビタミンであるため、油と一緒に調理して食べると吸収率を上げることができます。
また、アーモンドなどのナッツ類はそのまま食べられる食材なので、子供のおやつなどに利用しても手軽でおすすめです。
さらに、ビタミンEと同じく抗酸化作用を持つ「ビタミンA」「ビタミンC」と一緒に摂取することで相乗効果が生まれ、より効果を高めることができるでしょう。
ビタミンEをサプリから摂取するには?

栄養素のすべてを食事から摂取することは理想ですが、忙しい毎日を送る中で献立を考えるのもひと苦労ですよね。
偏食やアレルギーなどがある子供も多く、悩んでいる親御さんも多いでしょう。
そんな時には、サプリメントを活用してビタミンEを効率よく摂取することもおすすめです。
ここでは、子供が手軽にビタミンEを摂取できるサプリメントをご紹介しましょう。
UHA味覚糖 「グミサプリKIDS 肝油」
肝油を配合したグミタイプの食べやすいサプリメントです。1日5粒目安でビタミンE 5.5mgをはじめ、ビタミンA 600μg、ビタミンC 55mg、ビタミンD 4.5μgが摂取できます。
1袋で、ブルーベリーヨーグルト味とストロベリーヨーグルト味の2種類が楽しめるので、子供もおやつ感覚で食べられますね。
しっかり噛むことが必要なグミタイプなので、奥歯が生えそろってしっかり噛んで食べられる年齢が対象のサプリメントです。
- 価格:1,058円(20日分 税込) 1日5粒(約53円/日)
コプリナ 「キッズDHA」
魚が苦手な子供におすすめのDHA、EPAがメインのサプリメントですが、3種類のビタミン(ビタミンA 400μg、ビタミンD 3.0μg、ビタミンE 6.0mg)もしっかり配合されています。
子供も好きなオレンジ風味で、そのまま噛んで食べられるサプリメントです。
- 価格:1,950円(90粒入り 税込) 1日2粒(約43円/日)
まとめ

ビタミンEは強い抗酸化作用持つビタミンです。
体内の脂質の酸化防止や血行促進、免疫細胞を活性化させるなどの作用を持ち、子供から大人まで、すべての世代の体を活性酸素から守る働きを担っています。
大人では、体内の脂質に大量のビタミンEを蓄積ししているため不足のリスクはあまりないものの、子供ではその蓄積がまだ不十分であり、適切に摂取しなければ体に悪い影響が起こる可能性もあります。
ビタミンEは食事でも十分摂取できますが、必要に応じてサプリメントを活用することもおすすめです。
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