「ビオチン」はビタミンの一種。名前を聞いたことはあっても、効果などについて詳しく知る機会がなかったという方も多いかもしれませんね。
この記事では、ビオチンの効果や必要量、効率的な摂取方法などについて解説していきます。
ビオチンとは?

ビオチンは、ビタミンB群の一つとされる水溶性ビタミンです。
かつて、酵母の増殖に必要な成分として発見され研究が進められる中で、皮膚の炎症防止の作用があることが明らかとなりました。
最近では、美肌や美髪への効果が期待できる成分としても注目されています。
また、ビオチンは「栄養機能食品」の成分として「ビオチンは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」という文言の表示が認められています。
[栄養機能食品とは?]
特定の栄養成分の補給のために利用される食品のことです。栄養機能食品は栄養成分の含有量が国に定められた基準の範囲内である必要があり、ビオチンの場合は下限値15μg~上限値500μgの範囲となっています。
ビオチンの特徴

ビオチンは「ビタミンH」「ビタミンB7」という呼び方をされることもある、熱に弱い性質を持つ水溶性ビタミンです。
食品からも摂取できるほか、体内で腸内細菌から合成もできるため不足しにくいと考えられているビオチン。しかし、調理・加工の過程で失われやすいこともあり、実際には必要量が維持できていない可能性もあると言われています。
ビオチン吸収過程

食品に含まれるビオチンの多くがたんぱく質と結合しています。食事から摂取されたビオチンは以下のような過程で吸収されます。
- 膵臓から分泌される酵素「ビオチニダーゼ」により、ビオチンがたんぱく質から切り離される。
- 切り離されたビオチンは血液中に移動し、主に空腸で吸収される。
吸収されたビオチンは、血液中に移動し肝臓を経由し細胞に取り込まれます。細胞に取り込まれたビオチンは糖や脂質の代謝に関わる成分として重要な役割を果たすのです。
[代謝とは?]
栄養素などを体の中に取り込み、合成や分解などを行うことで、体内で利用できるような物質に変化させることをいいます。
ビオチンが不足することによる体への影響

ビオチンが不足すると、以下のような症状が起こることが知られています。
- 食欲不振
- 吐き気
- 悪心
- うつ症状
- 舌炎
- 乾燥鱗片皮膚炎
- 皮膚の感染
- 脱毛 など
しかし、これらの症状が出たからといってビオチン不足を心配する必要はないでしょう。子供でも大人でも年代に関わらず通常の食生活を送っていれば、ビオチンが不足することはないようです。
参考までに、ビオチン欠乏を引き起こす可能性のあるケースを以下に紹介します。
- 生卵の卵白の長期にわたる大量摂取
- 先天性ビオチン代謝異常
- 抗けいれん薬の長期使用
- 長期にわたり血液透析を受けている方
ビオチンを十分摂取することで期待できる効果・予防できること

熱に弱いなどの性質上不足しやすい栄養素であるとも言われるビオチンですが、通常の食事が摂れている限りはあまり心配はないようですね。
そこで気になるのが、ビオチンの効果。ビオチンは私たちにどのような効果をもたらしてくれるのでしょうか。
ここでは、ビオチンを十分に摂取することで得られる効果について見ていきましょう。
皮膚や粘膜の健康を保つ
ビオチンは、たんぱく質が主成分となっている皮膚の粘膜を維持したり爪や髪を健やかに保つ作用があります。これは、ビオチンがたんぱく質の構成成分である「アミノ酸」の代謝に関わっていることに関係しています。
たんぱく質はエネルギー源となるほか、筋肉・臓器・皮膚・毛髪などの体構成成分、ホルモンや酵素など体の機能を調整する成分として生命維持に必要な成分です。
アミノ酸の代謝に関わるビオチンを十分に摂取することで、アミノ酸からたんぱく質を作り出す過程がスムーズに進みます。
肌荒れや爪の割れに悩む子供も多いため、ビオチンを意識して摂取してみるのも良いかもしれませんね。
エネルギーを作り出す
ビオチンは糖・脂質・たんぱく質(アミノ酸)の代謝に関与しており、体内でエネルギーを作り出すのに必要不可欠な栄養素です。
子供が日々元気に活動できるエネルギー源を作り出す手助けをしてくれる成分が、ビオチンなのですね。
糖の代謝を助ける
ビオチンには血糖値を調整する効果が期待されています。血糖値に関わるメカニズムについては十分に解明されていませんが、ビオチンが糖の代謝に関与しているためであると考えられています。
ビオチンの摂取目安量は?

「ビオチンがきちんと摂れているのか心配……」と気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
ビオチンはエネルギーの生成に関わるなど私たちにとって必要不可欠な成分であるため、どのくらいの量のビオチンが必要なのかを知っておくことはとても重要です。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、ビオチンの1日当たりの摂取目安量を以下のように設定しています。
年齢等 | 目安量(男性) | 目安量(女性) |
---|---|---|
0~5(月) | 4μg | 4μg |
6 ~11(月) | 5μg | 5μg |
1~ 2 (歳) | 20μg | 20μg |
3~ 5 (歳) | 20μg | 20μg |
6~7(歳) | 30μg | 30μg |
8~9(歳) | 30μg | 30μg |
10~11(歳) | 40μg | 40μg |
12~14(歳) | 50μg | 50μg |
15~17(歳) | 50μg | 50μg |
18~29(歳) | 50μg | 50μg |
30~49(歳) | 50μg | 50μg |
50~64(歳) | 50μg | 50μg |
65~74(歳) | 50μg | 50μg |
75以上(歳) | 50μg | 50μg |
妊婦 | - | 50μg |
授乳婦 | - | 50μg |
ビオチンの食事摂取基準に男女に差はなく、妊娠中の方や授乳中の方に対する負荷もないようです。
ビオチンを摂取する上での注意点

ビオチンは水溶性ビタミンの一種です。
水溶性ビタミンは過剰に摂取しても余分なものは尿として排泄されるため、一般的には過剰症などの心配はないとされています。
逆を言えば、摂取しても体内に蓄積されることはないため、日々こまめに摂取する必要がある栄養素であると言えますね。
ビオチンを食事から適切に摂取する方法は?

ビオチンは、肉類や魚介類、卵類、きのこ類、種実類などに多く含まれています。
ビオチンを多く含む食材
食品名 | 状態など | 含有量 |
---|---|---|
にわとり 肝臓(レバー) | 生 | 232.0μg |
らっかせい | バターピーナッツ | 96.0μg |
ぶた 肝臓(レバー) | 生 | 80.0μg |
うし 肝臓(レバー) | 生 | 76.0μg |
鶏卵 | 卵黄 | 65.0μg |
アーモンド | フライ/味付け | 60.0μg |
ドライトマト | - | 43.0μg |
しいたけ | 乾 | 37.0μg |
大豆 | 黄大豆/国産/乾 | 28.0μg |
きくらげ | 乾 | 27.0μg |
鶏卵 | 全卵 | 25.0μg |
まいたけ | 生 | 24.0μg |
あさり | 生 | 23.0μg |
まがれい | 生 | 23.0μg |
まいたけ | 生 | 24.0μg |
ししゃも | 生干し | 18.0μg |
すけとうだら たらこ | 生 | 18.0μg |
まいわし | 生 | 15.0μg |
摂取のポイント
ビオチンは体内で腸内細菌からも合成できますが、それだけでは必要量が維持できないと言われています。そのため、食品から積極的に摂取するのがポイントです。
しかし、水溶性ビタミンであり熱にも不安定なビオチンは食材を加工する時点での損失もあるため、より意識して摂取したほうが良いと言えるでしょう。
また、生卵の白身に含まれるアビジンは、大量に摂取することでビオチンと結合し吸収を阻害します。しかし、アビジンは加熱すると活性を失うため、白身に火が通るような調理方法で食べるとビオチンの吸収を阻害する心配がなくなります。
ビオチンをサプリから摂取するには?

ビオチンは通常の場合不足することはあまりないと言われている栄養素ですが、食べ方や調理方法によっては損失しやすいため、注意が必要です。
ましてや子供であれば、偏食やアレルギーなどで思うように摂取できないこともあるかもしれませんね。
そんな時には、適宜サプリメントを活用して効率よく摂取することもおすすめです。
ここでは、子供が手軽にビオチンを摂取できるサプリメントをご紹介しましょう。
キッズハグ 肝油
まずは「キッズハグ 肝油」をご紹介します。
「キッズハグ 肝油」は、主成分であるビタミンAとビタミンDのほか、ビタミンB群(ビタミンB6、ビオチン、ナイアシン)を配合したチュアブルタイプの子供用サプリメントです。
さわやかなグリーンアップル風味でラムネのようにそのまま食べられるチュアブルタイプの「キッズハグ 肝油」は、おやつ感覚で食べられるため、子供でも飽きずに続けられそうですね。
- 1日当たり:ビタミンA 600µg、ビタミンD 4.5µg、ビタミンB₆ 0.6mg、ビオチン 17.5µg、ナイアシン 6.5mg
- 価格:849円(30日分 税込)~ / 1日3粒(約28円/日)
おいしいおてがるサプリ マルチビタミン
「おいしいおてがるサプリ マルチビタミン」は、大人と子供が一緒に健康づくりに役立てられるサプリメントです。11種類のビタミンが配合されていますが、ビオチンも摂取できます。
こちらも子供でも食べやすい水なしOKのチュアブルタイプ。レモン風味になっています。
- ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ナイアシン
- 価格:1,058円(30日分 税込)~ / 1日5粒(約35円/日)
まとめ

ビオチンは水溶性ビタミンの一種で、皮膚の健康を保ったりエネルギーを作り出す手助けをしてくれたりする栄養素です。
一般的には不足や過剰の心配はない栄養ですが、食品を加熱することで損失したり偏食があったりする場合には、不足しないように意識して摂取したほうが良いでしょう。
特に、アレルギーがあったり好き嫌いが多く食が細かったりする子供では、適宜サプリメントなどを利用して補ってあげるのが良さそうですね。
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