ビタミンにはたくさんの種類があります。ビタミンCや葉酸、ビタミンDなどはランキングでも上位に入ってくる有名なビタミンですが、「ビタミンB群」「マルチビタミン」に含まれているビタミンB1も、重要なものです。
ビタミンB群にはいくつか種類があり、そのどれもが重要ですが、その中でも特にビタミンB1がどのような働きをしているか、ご存知でしょうか?
ビタミンB1はエネルギーを作るのに必要なビタミン
ビタミンB1は「チアミン」とも呼ばれ、糖からエネルギーを作り出す際に必要なビタミンです。作られたエネルギーは、脳や神経が活動するために使われるため、ビタミンB1がなければ脳や神経の働きに支障が出てしまいます。
育ち盛りの子供の脳や神経の発達のためには、とても重要な栄養素と言えます。

ビタミンB1は腸で吸収される
食べ物の中では、ビタミンB1にいくつか飾りがついた状態で存在しています。消化される過程でその飾りが少しずつとれ、最終的にビタミンB1へと変化していきます。摂取したビタミンB1は、腸内で吸収されたのち、およそ60%が実際に体で使用されます。
栄養素の中では、吸収率が少し低めのものなので、摂取の目安量よりも多めに意識して摂取したいですね。
玉ねぎやニンニクがビタミンB1の吸収を助ける
ビタミンB1は、体の中で全て使用できるわけではないため、すこし多めに摂取する必要がありますとお伝えしましたが、量を多く食べるように毎日意識するのも大変です。

そこで知ってもらいたいのが、吸収効率をアップさせてくれる玉ねぎやニンニク、にらなどに含まれる”アリシン”という成分です。ビタミンB1の吸収を助けてくれるため、効率の良い摂取のためにはぜひ組み合わせた料理を選んでみましょう。
昔は脚気などの原因になったビタミンB1不足
明治〜大正時代には、脚気(かっけ)という病気が非常に流行していました。
初期の頃は食欲不振や疲れなど、夏バテのような症状のみですが、進行すると手足の麻痺やむくみ、心臓の症状などが出てきて、最後には死にいたるとても深刻なものでした。
この病気が流行したのは、玄米から白米へと食事が変わったこと、肉を食べる習慣がなかったこと、などによるビタミンB1不足が原因と考えられています。当時は治療法もなく、結核と並んで2大国民病と言われていました。
現代ではビタミンB1不足は稀
現代でも玄米はあまり食べませんが、ビタミンB1の多い肉類を多く食べるようになったことや様々な副菜を食べるようになったこともあって、ビタミンB1不足になることは少ないです。
ですが、インスタント食品やスイーツを多く食べる、食事内容に対して運動量が多いなど、バランスに偏りのある子供ではビタミンB1が不足する可能性がありますので、食事内容を見直すと良いかもしれません。
インスタント食品の中には、わざわざビタミンB1を添加しているものもあるくらい、重要なものなのですよ。
摂取不足はあまり心配する必要はありませんが、年齢ごとの摂取基準量は定められています。これは、この量を摂取していれば不足はしない、という目安になる量のことです。
男子 | 女子 | |
0〜5ヶ月 | 0.1 | 0.1 |
6〜11ヶ月 | 0.2 | 0.2 |
1〜2歳 | 0.5 | 0.5 |
3〜5歳 | 0.7 | 0.7 |
6〜7歳 | 0.8 | 0.8 |
8〜9歳 | 1.0 | 0.9 |
10〜11歳 | 1.2 | 1.1 |
12〜14歳 | 1.4 | 1.3 |
15〜17歳 | 1.5 | 1.2 |
18歳〜 | 1.4 | 1.1 |
ビタミンB1摂取で疲労回復効果
ビタミンB1は、糖質を分解してエネルギーに変えるのに必要な物質です。糖質の量に対して十分なビタミンB1を摂取することで、疲労物質である乳酸が溜まりにくくなり、疲労回復効果・疲労予防効果が見込まれます。
部活に勉強にとたくさんのことを頑張っている子供のために、良い影響を与えられる栄養素の1つと言えるでしょう。
ビタミンB1は豚肉などに多く含まれる
ビタミンB1が多く含まれる食品は以下のようなものがあります。
豚ロース肉100g | 0.4 |
紅鮭1切れ | 0.3 |
雑穀米100g(小盛り1杯) | 0.34 |
納豆1パック | 0.14 |
枝豆50g(皮付きで両手に1杯くらい) | 0.12 |
玄米や雑穀米、肉、魚介類、豆類によく含まれます。
煮汁が出る料理の場合にはそこに栄養が流れ出ているため、一緒に食べられるようなメニューにすると栄養を漏れなくとることが出来ますよ。
おすすめの摂取レシピ
先ほども解説したように、ビタミンB1を効率よく摂取するためには、玉ねぎやニンニク、にら等と一緒に調理できるレシピが最適です。

- 豚肉のガーリックステーキ
- 豚の生姜焼き
- 紅鮭の石狩鍋(味噌汁)
- 紅鮭のホイル焼き
- にら・ニンニク入り餃子
などはいかがでしょうか。子供が好むメニューがたくさん作れそうですね。また、玄米は少し下準備が大変ですし子供ウケも良くないかもしれませんが、雑穀米であればもちもちして美味しいので取り入れやすいかと思います。ぜひ、色々と調べて食卓の参考にしてみてください。
ビタミンB1は水溶性ビタミンなので過剰摂取の心配は少ない
ビタミンB1は、ビタミンの中でも”水溶性ビタミン”と呼ばれるものの1つで、体が必要としている以上に摂取したとしても尿から排出されていきます。そのため、過剰摂取になってしまう心配は少ないです。実際に、食べ物の摂取のみで過剰摂取になった報告も現在のところありません。
ビタミンB1が含まれる子供用サプリは?
ビタミンB1は不足することは稀とは言え、運動量が多い子供や食べ盛りで炭水化物を多く食べる子供には、ビタミンB1を積極的に摂取させたいと思う親御さんもいるでしょう。子供用のサプリのいくつかには、ビタミンB1が含まれているものがあります。摂取量を増やしたいとお考えであれば検討しても良いでしょう。
ただし、「食事をとっている子供は基本的にサプリ不要」ということが、厚生労働省から案内されています。そちらの案内も目を通してみてください。
ビタミンB1はそれ1つだけで効果を発揮するのではなく、いくつかあるビタミンB群がお互いに助け合ってより良い効果を発揮しています。そのため、ビタミンB1のみのサプリはほとんどなく、「ビタミンB群」あるいは様々なビタミンが含まれる「マルチビタミン」というような商品が多いです。
子供用サプリ①ファンケル親子deビタミン

レモン風味のサプリメントです。チュアブル錠といって、噛んだり舐めたりして食べるタイプのサプリメントなので、お薬感が少なく、子供でも楽しく食べられるでしょう。
また、親子で一緒に食べることで、抵抗感を減らすことも期待できます。一緒に楽しくビタミンを補給していきましょう。
成分は、ビタミンB群の他にビタミンCとポリフェノールが含まれています。
ビタミンCが含まれていると、尿に色や匂いがついたり、尿検査の結果がわかりにくくなったりすることがあります。学校などで尿検査をする数日前からは、摂取をお休みした方がいいでしょう。
子供用サプリ②おやつにサプリZOOマルチビタミン

こちらはパイナップル風味のサプリメントです。同じくチュアブル錠なので、お薬が苦手な子供でも抵抗なく始められるでしょう。
ビタミンB群のほか、ビタミンA、ビタミンKが含まれています。ビタミンAとビタミンKは脂溶性ビタミンといって、たくさん摂取したときに体外に排出されないものなので、おやつ感覚でたくさん食べ過ぎないように注意しましょう。
ビタミンB1をサプリでとる時に注意すること
ビタミンB群は、独特の臭いと苦味があります。レモンやパイナップルの味にするなど、味と臭いをカバーするために工夫はしてくれていますが、好みによっては口コミでも「酸っぱい」「苦い」などがあげられています。
初回はお試しで1つだけ買うことをおすすめします。
また、人工甘味料などが使われている場合もありますので、気にされる方は成分表を確認してから購入してくださいね。
まとめ
ビタミンB1は、エネルギーが作られるのを助け、脳や神経の発達に必要な栄養素の1つです。
疲労回復効果などもあり、成長期の子供の体でとても大切な働きをします。
食べ物を意識したり、サプリメントを検討したりしてみてはいかがでしょうか。
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